TAB 多読 -tadoku and beyond!-  

いっぱい読んでたっぷり聞けば、英語はかって出てきます!

  

2013/04/11

不毛な議論①


高校では4月から新学習指導要領が実施されます。「英語の授業は英語で」行うことになりました。英語力養成のためにはこの改正を歓迎する声が多いとともに、現場の先生には戸惑いもあるようです...

どうせ、こんなニュースが流れますよ。実際、新聞やテレビから取材要請が数件ありました。Asahi Weeklyの取材も受けました。「本音と建前どっちがいいですか?」と聞くと、「是非本音を。」というので本音を話しましたが、やはり記事にはできませんね(笑)。

実際に学習指導要領にはこう書いてあります。

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い
2 内容の取扱いに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(3) 英語に関する学科の各科目については,その特質にかんがみ,生徒が英語に触れる機会を充実するとともに,授業を実際のコミュニケーションの場面とするため,授業は英語で行うことを基本とすること。その際,生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう十分配慮すること。(※下線部オレ)

下線部をよーく読んでください。この部分を読まずに「英語の授業は英語で」と言っても何の意味もないのです。

現場の教員のとまどいの声
「文法を英語で説明して生徒がわかるわけがない。」「本文の内容を英語で説明しても、生徒がわかるわけはない。」「英語で授業していたら大学入試に対応できない。」

この戸惑いはトンチンカンです。

学習指導要領は「英語で説明しろ」とは言っていない。授業時間に、生徒が「英語でコミュニケーションする」ようにしてほしいと言っているのです。また少しでも英語に触れる機会を増やすため、先生にも英語で話してほしいと言っているのです。わざわざ「生徒の理解の程度に応じた英語を用いるよう十分配慮すること」とも書いてあります。生徒が英語では理解できないと思われる内容を伝えなければならないときは日本語を使えばいいのです。(←もしこれが違うというなら、私は文科省に徹底的に抗議します。)

文科省視学官太田氏は、「日本は日常生活で英語を使わない。せめて、学校の英語の授業時間は英語を使う時間にしないと使えるようになるわけがない。」と言っていました。学習指導要領の「趣旨」自体は、英語の授業時間は日本語よりも英語があふれる環境をつくろう、ということです。

しかし、日本の学校では、教師が生徒に知識を「教える」というのが大前提になっています。この大前提をひっくり返さないことには「英語の授業は英語で」なんてできるわけがない、つまり学習指導要領の趣旨を教室に活かすことはできません。

今までの「普通の」英語の授業を想像してください。授業中生徒が「英語を使う」時間は50分中どれくらいありますか?多分限りなくゼロに近いでしょう。生徒が本当に「英語を使う」時間が10分もあれば、それはもうすごい授業です。

また、新しい教科書も、「授業を実際のコミュニケーションの場面とするため」には向いていません。結局、本文を理解することがメインの構成になっており、さらに文法事項が各課の最初のページに来ています。以前より「文法訳読」がしやすい構成になってしまっているとも言えます。少なくとも、OxfordやPearson等から出ているCourse Booksの方がよほど「授業を実際のコミュニケーションの場面とするため」には向いています。どうしてこんな教科書が検定を通っているのか全く理解できません。(太田氏は講演で教科書会社を批判していましたが、「検定」という権力をもっている人間に批判はできないはず。批判するのであれば検定に通さなければいいじゃないですか。出版社という「財界」と対立できないだけじゃないですか?あるいは「私自身は検定担当ではない」とでも言うのでしょうか。)

こんな状況で「英語の授業は英語で」だけ一人歩きしても、日本人の英語力は向上しません。絶対。

学習指導要領の中の、たった数文字だけを抜き出してああだこうだ言うのやめませんか。

実は、数十年前から、教科書を使いながらも「英語で」授業している教員はいます。ただし、それができるようになるためには徹底的な研究と研修が必要。全教員にそのための時間と環境を与えない限り無理です。文科省も、「実際すでに英語で授業している教員はいる。」と言っていますが、だとしたらそれがもっと広がるような努力をすべきです。「こちらは努力しているが現場が言うことをきかない。」という論理はやめてください。言うことをきかないなら、「どうしたら言うことを聞いてくれるか」をもっと考えて、必要であれば権力も行使すればいい。ただし権力を行使するときには、公立にも私立にも同じく行使してくださいよ

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